オレンジのジャージ
私が小学校に入学して
初めての体育の時間、みんなが私を見ていた。
上の学年の子までが、私を見に来た。
私だけ、オレンジに黒のラインが入ったジャージを
着ていたから。
男の子は紺に白の二本線、女の子はえんじに白の二本線。みんな、多分みんなそうだった。
私はオレンジに黒の三本線、あの頃そんなの着てる子はいなかったんだと思う。
アパレルメーカーに勤める親戚からプレゼントされたジャージ、当時はなかなか洒落たもんだったんだと思う。
その時の気持ちは憶えていないけど、もしかしたら
みんなと一緒が良いと思ったのか、注目されるのが
気持ち良かったのか。
私の母親は人の目を、すごく気にする人だった。
それは私が大きくになるにつれ、思ったことなんだけど、それは思春期の私にはとても嫌なことだった。だから、忌野清志郎と坂本龍一の「い・け・な
・いルージュマジック」を聴いて、(人の目を気にして生きるなんてくだらないことさ)という歌詞とか、あの見たこともないようなファッション、パフォーマンスに一目で釘付け、夢中になった。
今、大人になって子育てもやや、落ち着いてふと
思った。(なーんか、母親に似てるかも・・)
子育て中の自分を振り返って嫌な気持ちになる事、たくさんありすぎて。
人の目を気にするあまりに、思った事言わなかったり、自分だけならまだしも、子供にまで我慢させたり・・
良くない母親。こんな母は、私が子供だったら嫌だよ。
理想と現実、上手いこといかない。
清志郎の子どものつもりでも、私は出来損ないの悪い娘なんだ。
あのオレンジのジャージを着てた頃は
大人になってこんな情けない気持ちになるとは、
そんな日が来るとは知らなかった。
オレンジのジャージを着て、人から注目されて(笑われてたかもだけど)そのままいー気になって、生きて来たかった。
やっぱ、気持ち良かったのかな?
今でも持ち物や、着るものはなるべく人とかぶらないようなもの、選んでる。
やっぱオレンジ引きずってんのかな?
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